所有者が亡くなっているのに相続登記をしていない土地や、所有者の所在が分からない土地が、全国で九州の面積に匹敵する規模に膨らんでいるそうです。このような土地を減らすために、「相続土地国庫帰属法」(2023年4月27日施行)や「相続登記の義務化」(2024年4月1日施行)など、数々の法改正や新法が設立されました。
これらに先駆けて、2023年4月1日に民法が改正されました。遺産分割協議のルールの見直しもその一つですが、他にも下記のような法改正が施行されました。
◆「隣地関係のルール見直し」
①隣地使用権(境界付近のフェンスやブロックの設置・修理、境界標の調査、隣地に伸びている枝切り等の際に、隣地を使用できるようになりました。ただし、人が住んでいる場合は承諾が必要です)
②ライフライン設置権(電気・ガス・水道・電話・インターネット等の電気通信の設置にあたって、周囲の土地を通過したり、他の土地上の設備を使用したりすることが可能になりました)
③越境した竹木の枝の切取り(隣地の木の枝が、境界線を越えて伸びてきた時、まずは切ってほしいと請求する必要があります。ただし、2週間ほどしても切ってもらえない場合、越境された土地の所有者が、枝を切り取ることができるようになりました)
◆「土地・建物の管理制度の創設」
所有者が不明だったり、いたとしてもしっかり管理してくれなかったりする土地や建物について、裁判所に申し立てをすることで管理人を付けてもらえるようになりました。これまでも「不在者財産管理人」の選任を申し立てることができましたが、行方不明者の全ての財産の管理ではなく、問題となっている不動産についてのみ管理してもらう制度が新たにできました。
◆「不動産の共有制度の見直し」
形状などの軽微な変更や管理について、共有者全員の同意が必要でしたが、持分の過半数の同意で可能になりました。また、行方不明の共有者がいても、裁判所の許可が下りれば、行方不明の人の持分を買い取ったり、不動産を売ったりもできるようになりました。
詳細を確認したい方は、下記をご覧ください。