認知症高齢者・精神障害者・知的障害者など判断能力が低下した人の生活を支援する成年後見人制度は、2004年4月に始まったが、内容があまり知られず、メリットも乏しいとされることから、利用者は約2%と低迷している。
そこで政府は利用促進に向けて制度改革を進めている。
見直しのポイントは、
(1)利用者本人がメリットを実感できるように改善(財産管理だけでなく本人の意思決定の支援、身上監護も重視。成年後見人などの適切な選任や柔軟な交代)
(2)地域ネットワークでの支援体制づくり(成年後見人と福祉関係者などでチームを組む。チームを支援する協議会や相談を受ける機関を整備)
(3)不正防止(預貯金の払い戻しのチェック強化)。
当初、親族が90%以上を占めた成年後見人は、2015年には司法書士や弁護士といった専門職などが70%を占めるようになった。
しかし、今回の制度の見直しによって親族後見人への期待が高まる。
(平成29年2月8日 日本経済新聞より抜粋)
私が知る限りでも、後見人の申立てに躊躇する方が多いのが現状です。
2%と言う数字もうなずけます。
後見の申立てをすると、生前贈与などの生前対策が出来ないなど、行動が規制されてしまうからです。
兄弟の仲が悪くて、誰かが親のお金を使ってしまったりする危険性がある家庭は、すぐにでも後見の申立てをすべきですが、家族円満で何も問題がない家は、改めて後見の申立てをしようということにはなりません。
不動産の売買、遺産分割協議、定期預金の解約などの場合に、第三者からの指摘で申し立てざるを得なくなってからしていることが多いです。
親族の横領が後を絶たなかったため、専門家の後見人就任が逆転して増えました。
しかし、その専門家が横領したりする現実もあり、また親族後見人がなりやすいように変わってきます。
成年後見制度利用促進法が、どのように変わって使いやすくなるか楽しみです。
(米田貴虎)