遺産寄付(遺贈)で生きた証し – 「終活」で社会貢献意識

遺産を、NPOや公的機関に寄付する動きが広がり始めた。

「おひとりさま」や「子どものいない夫婦」の増加に加え、「終活」ブームで納得できる最期を迎えたい人が増えたことが背景にありそうだ。

相続人がいない場合、故人の遺産は国庫に入る。その額は2015年度で約420億円。国庫に入るくらいなら「自分の意志で生前に使い道を決めたい」との思いが、遺贈につながっているようだ。

遺産からの寄付額は、財務省によると相続税の申告をしている人のみの合計で、2013年に約300億円。推移を示すデータはないが、明らかに増えており、遺贈者の顔が見えるようになったのが最近の特徴という声もある。

一方で、手続きの煩雑さに加え、信頼できる団体を見極めるのが難しいといった課題も見えてきた。子どものいない世帯の増加にともない、税制なども含めて、遺産を安心して寄付できる仕組みづくりが喫緊の課題となりそうだ。

(平成29年1月8日 日本経済新聞より抜粋)

「遺贈」とは、遺言書によって被相続人の死後に財産を無償で渡すことをいいます。被相続人の親族(法定相続人)に渡す「相続」との違いは、第三者に対して遺産を渡せる点にあります。

ですから、相続人のいない「おひとりさま」や「子どものいない夫婦」に限らず、遺言書を残すことで、第三者(人、あるいは団体)への遺贈が可能になるわけです。昨今の「終活」ブームによって、自分の大切な財産を誰に渡したいのか、どうすれば渡せるのかを具体的に考える人たちが増えてきたのかもしれません。

しかし、相続人がいなくて国庫に入る財産が420億円とはすごい金額です。

「お金を貯めるのも難しいですが、お金を使うのはもっと難しい」ということを、講演などではよく話しています。

せっかくためたお金ですから、生前に全部使いきって、余ったお金も自分で行先を決めておきたいものですね。

(米田貴虎)