消費税率8%から10%への病気や認知症に伴い預金を自力で下ろせないといった高齢者の財産管理に関心が集まっている。大切なのは、本人の心身の健康状態に応じて、とるべき方法が変わってくることだ。
判断能力が十分あるが、病気などで動けない場合は、家族を代理人とするのが、一般的だ。代理は法律行為で、大抵の場合は、「委任状」の提出を求められる。判断能力があるとはいえない状態のときは、成年後見制度を使って、成年後見人として手続をすることができる。
また、最近増えてきたのが、高齢者本人が元気なうちに、信頼できる家族に財産管理を委託する民事信託制度だ。他の方法と違うのは、財産の名義を委託される人(受託者)の名義に変更する点だ。
成年後見制度などは、後見人となった者が財産を不正流用するなど、近年トラブルが多発している。不正防止のために、弁護士、司法書士ら専門職で信頼できる人に任せるという選択肢もあるが、財産額に応じた報酬が必要なので、確認しておく必要がある。
(2016年5月4日 日経新聞より)
成年後見制度のひとつに「任意後見制度」というものがあります。これは、本人の判断能力が十分なうちに、財産管理を任せたい家族や専門家との間であらかじめ任意後見契約を結んでおいて、実際に判断能力が低下してきたら、受任者が家庭裁判所へ任意後見監督人の選任を申し立てて認められると、契約内容を実行できるようになるというもので、高齢者本人の希望と、万一の場合の監督人という2つの安心が得られるもので、利用者も増えています。