政府・与党は認知症などで判断能力が低下した高齢者らの生活を支援する成年後見制度の見直しに乗り出す。見直しの柱は大きく3つ。第一は死後事務の法定化など後見人の権限(仕事)の拡大だ。
現状では、被後見人が亡くなると後見人の仕事は原則終了だが、親族がいない場合、専門家などが法的な裏付けのないままに火葬手続きや葬儀、医療費の支払などをしているのが実情となっており、そこを法定化することで、郵便物の開封などの死後の管理をもできるようになるというものだ。
また、成年後見制度について、約460万人いるとされる認知症高齢者に対して、利用者は昨年末で約18万5000人と、想定よりもかなり少ないところから、第二の被後見人の権利制限の見直しや、第三の制度の利用促進のため、内閣府に促進会議を設け、計画策定を3年以内にするというものだ。
関連法の整備は最低限に必要なことであり、制度の理念である「被後見人の権利擁護や意思決定支援」をいかに充実させるかを含めると、課題は多い。
(2015年8月11日 日経新聞より)
最近、後見人となった司法書士、弁護士などの専門家の悪事や、親族が後見人となり、お金を勝手に使い込んだなど、成年後見人の立場を利用して不正を行ったという、ニュースが後を絶たない。
専門家はともかく、親族以外に市民後見人といった第三者後見人を育成し、後見人のなり手不足を解消しようという動きも地方などで見られるが、なり手の意識を高めることも同時に行わなければならないと思う。