その生前贈与、大丈夫? – 相続増税前、当局が注視

申告が適正かどうかを税務署が調べる「税務調査」が例年、この時期から本格化する。

とくに、ここ数年は、来年からの相続税の基礎控除が40%も縮減されるのを受け、相続財産を減らそうと子供や孫にまとまった額の資金を贈与する人が増えていることから、専門家の多くは「税務当局が生前贈与について関心を強めている」とみている。

例えば、保有する大量の株式を売却(譲渡)し、その売却代金をそっくり子供名義の預金口座に振り込んだ場合、子供への贈与にあたり、申告する必要がある。また、資金の使い道が教育費であれば、1500万円、住宅購入であれば、最大1000万円の非課税枠を使えるが、この場合に申告の必要があるのを知らずに、申告をしなかったりすると、税務署から「お尋ね」と書かれた紙が送られてくる。

中には、過去の申告書や支払調書などさまざまな資料を手掛かりに時間をかけて実地に調査するケースもある。
(平成26年 9月17日日経新聞より)

当局は、相続増税によって、課税対象者が広がる来年にかけて、特に「相続についての注意喚起に力を入れるとみられる。」

今でも税務署は不動産など多額の財産の相続を受けた遺族に対して、記入用の相続税申告書や「お尋ね」などを送っているが、これからは、情報収集のために、必ずしも申告の必要のない人へのお尋ねも増える可能性があるので、普段からきちんと財産・負債を把握・管理しておくことが大切だ。