高裁那覇支部が判決 / 「印鑑より偽造困難」
遺産相続の遺言書に使われる「印」は多くは実印だが、(認め印でも可能)、その「印」の代わりに、戦国武将らのサインとして知られる「花押」の使用は有効かどうかが争われた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部は、印と認定できると判断した一審・那覇地裁判決を支持し、遺言書を有効と認めた。
経緯は次のとおり。
(1)琉球王国の名家の子孫に当たる沖縄県の男性が、不動産の相続について花押が記された遺言書を残して死去。
(2)二男が2012年に遺言書の有効性を求めて、長男と三男を相手取り提訴。
(3)長男らは無効と主張。
(4)2014年3月の一審判決で、男性がこれまでも花押を使用してきたと指摘し、「印と認めるのが相当」と判断。高裁那覇支部も支持し、長男らの控訴を棄却。
(平成26年 10月25日日経新聞より)
専門家によると、この「花押」が印として認められた司法判断は極めて珍しいという。
中国に起源のある花押は、豊臣秀吉ら歴史上の人物が使ったほか、現在でも閣議書を回覧する「持ち回り閣議」で大臣が使用することがあるらしい。
しかし、印として認められた大きな理由として「印鑑より偽造が困難」というところは、遺産相続で相続人間の争いが増えてきた現代ならではだ。