平田さんは、51歳のご主人を亡くされ、未成年の子2人を含む3人の子供と相談に来られました。平田さんは専業主婦で、それまではご主人が家計などすべてを管理していたそうで、自宅不動産と通帳のある銀行の財産以外に、何があるのかもわからず困り果てた様子でした。さらには一家の大黒柱を失い、今後の生活や子供の学費をどのようにしていくか金銭面の不安も大きい印象でした。
まずは通帳や郵便物などを確認し、通帳のある銀行以外に口座があるかどうか調べていると、ご主人はネット銀行に1つ口座があることが分かりました。ほかにもネット銀行に口座があるかもしれないと、めぼしいネット銀行に電話で確認をし、口座がある銀行には書類を郵送でやり取りする作業を行い、かなりの時間を要しました。その間に平田さんは、亡くなったご主人の会社に退職金が支給されるかの確認をしたり、未成年の子の特別代理人を平田さんの両親に頼むべく事情を説明したりと日々動かれていました。
結果、平田さんの両親にそれぞれの特別代理人になってもらい、自宅、預金と見つかったネット銀行の預金をすべて平田さんが取得し、未成年の子はそれぞれ法定相続分を相続することになりました。平田さんが知らなかったネット銀行の預金が見つかったことで、未成年の子が取得した法定相続分はそれぞれの学費に充てることができ、なんとか学費を確保することができたと平田さんは安心されていました。さらに退職金も支給されることになり、平田さんはご主人が財産を残してくれたことに感謝しておられました。
このケースのように「夫がどこにどれくらいの財産があるのか聞かされていない」「相続人が兄弟姉妹で、財産のことは知らない」といったことをよく耳にします。特に平田さんのように若い方は、万が一のことがあった時のことを考えていないことも少なくありません。
相続人が財産を把握していないと、せっかく残された財産を見つけることが出来ず、取得することが出来ません。最近はネット銀行やネット証券の口座を持つ人も増えてきており、手掛かりがなければ、見つからない可能性もあります。
家族がきちんとわかるように、エンディングノートや遺言書を残しておくことが大切です。