質問:実母が死亡して、相続税が発生しました。残された土地が約1,200平方メートルあり、処分に困っています。相続者は7人です。土地の周囲には道路がないので売却することが難しく、物納ができない状態です。相続者も全員、相続税の支払い能力がなく、分割納税もできません。このような状態ではどのようにすればよいのでしょうか?
回答:相談者さんの実母さんの相続財産は、基礎控除を超えるのかどうかにより、基礎控除を超えて相続税が課税される場合には、その評価額をさらに減額させる方法の検討をし、基礎控除以下であれば、今後無道路地をどうして(買取ってもらうか?道路と接道している土地を買うのか等)いくのかを検討していく必要があります。
1.相続財産は、基礎控除額を超えるのかどうか?
相続税の基礎控除については、5,000万円+1,000万円×相続人の数です。相談者さんの実母さんの場合、12,000万円まで基礎控除があります。12,000万円を超えなければ相続税は課税されないこととなります。
無道路地の評価についても、税法に則り行うと、無道路地でないものとして計算した金額の最大40%減額が可能ですが、それでも金額が高いと思われる場合には鑑定により評価し直すことも検討する必要があります。この鑑定については、不動産鑑定士等の専門家にお聞き下さい。
また、実母さんの財産に居住用財産等はないのですか?もし、居住用財産があれば処分・物納等の検討も可能だと思われます。
2.無道路地の処分等の検討をする
相続財産が基礎控除額を超え相続税が実際課税されることとなった場合で、財産が無道路地だけで、納税資金もない場合には、まず、その無道路地を隣地の方に買取ってもらうことの検討をする必要があります。
また、相続税の物納に関して物納が不可能とされる財産として「他の土地に囲まれて公道に通じない土地で民法第210条の規定による通行権の内容が明確でないもの」とありますが、物納収納時までに通行権を確保することができれば物納が可能となります。この民法第210条は囲まれた土地を所有する者は、その土地の旧所有者に対し通行する権利を有するというものですので、過去に遡ってその土地を誰から取得したのかを調べて通行権を確保できるようして下さい。
この場合にも、弁護士・司法書士・土地家屋調査士等の専門家にご相談下さい。