質問:2か月前に父が亡くなり、相続放棄しようか悩んでいます。私は3人兄弟ですが、5年前に父と母は離婚し、3人とも母の戸籍に入りました。父が万が一、借金を残しているとしたら、戸籍は別でも私たち子どもにまわってくるのでしょうか?もし私たちの知らないところで借金をしていたら…と心配しています。
回答:相続によって、亡くなった方の「資産と負債」を引き継ぐのは相続人です。相続人は、配偶者と子ども(子どもがいない場合は、親・兄弟など)です。親と子の関係は、それぞれが生きている限り永久に消滅しません。親が離婚し、子どもが、母の戸籍簿に記載されたとしても、父子の関係は存在します。
相談者の方のように、離れて暮らす亡父の負債(借金)の存在の可能性が高く、それが心配であれば、いっそ相続放棄を検討するのが賢明かもしれません。
ただ、かならずしも亡父の負債が資産を上回るとは言い切れない場合もあります。そのようなときは、限定承認をするのも一考です。
限定承認とは、一旦遺産を相続し、相続した遺産の範囲で負債を支払う責任を負うというものです。その手続は、原則として相続開始後3ヵ月以内に、財産目録を作成し、相続人全員で家庭裁判所に対して、申し述べをして行います。
限定承認後、相続人は遺産を管理し、債権者などに対し、遺産に関する権利を申し出るように公告します。そして、負債が確定した後、相続した遺産の中から権利者へ弁済等をしていきます。
預貯金などから弁済できればいいのですが、それができない場合、不動産等の遺産を競売したりして、弁済をしていくことになります。
このように、限定承認は、相続後の手続が煩雑になりますので、メリット・デメリットを踏まえて検討することが必要です。