
Cさんは、死亡保障付きの医療保険に加入しました。内訳は、死亡保険部分の契約者・被保険者がCさん、受取人がCさんの妻、医療保険部分の契約者・被保険者・受取人がCさんというものでした。さらに、Cさんが保険金の請求意思表示ができなくなった場合に備え、妻が代理請求できる「指定代理請求特約」も付加していました。
その後、Cさんは妻と離婚しましたが、保険の受取人や指定代理請求人の変更を失念していました。さて、この場合、離婚した元妻にどこまでの受け取る権利があるのでしょうか?
【医療保険】
<Cさん生存時>
原則として、保険金はCさん本人が請求して受け取るものです。ただし、Cさんが意識不明などで請求意思表示ができなくなった場合に備え、「指定代理請求特約」が付加されていれば、指定代理請求人が代わりに請求できます。しかし、「指定代理請求人になれるのは、被保険者の戸籍上の配偶者、直系血族、または被保険者と同一生計の3親等以内の親族」といった条件があります。したがって、元妻は指定代理請求人には該当せず、代理請求はできません。
<Cさん死亡時>
医療保険部分の受取人はCさん自身のため、Cさんの死亡時には、その相続人が保険金を受け取る権利を有します。元妻はCさんの相続人ではないため、受け取ることはできません。
【死亡保険】
死亡保険部分の受取人は元妻のままのため、保険会社の多くは「元妻が受取人として保険金を受け取る権利を有する」と判断します。ただし、保険会社によっては、離婚した元妻の受取りを認めない場合もあるため、個別の確認が必要です。
「離婚はしたが、元妻に迷惑をかけたので、死亡保険金でせめてもの償いをしたい」という場合は、受取人を変更しないのも選択肢の一つです。しかし、「元妻に保険金が渡るのは納得できない」という場合は、離婚時に受取人を変更しておきましょう。いずれにしても、生命保険は定期的な見直しが重要です。