実は身近にある、臓器提供の意思表示方法

公益社団法人日本臓器移植ネットワークによると、国内における死後の臓器提供の件数は毎年100件前後で推移し、2023年は150件近くの提供がありました。以前は、「臓器提供は本人の書面による意思表示が必須」という厳しい条件がありましたが、2010年の臓器移植法改正後は、生前に本人による「拒否の意思表示」がなければ、「家族の承諾」で臓器提供ができるようになり、脳死下の提供件数が増えているようです。

さて、この臓器提供の意思表示・・・、実は私たちの身近なところでできることをご存知でしたか。「運転免許証」や「健康保険証」の裏面、「マイナンバーカード」の表面に小さな文字で書かれていて、署名をする欄が設けられています。

他にも市町村役場や保健所、一部の病院や郵便局などに設置されている「意思表示カード」や、日本臓器移植ネットワークのホームページから「インターネットによる登録」をする方法もあります。

これらには、臓器提供をするという意思表示だけでなく、提供をしないという意思表示もできます。後者の場合、家族が提供を希望しても本人の意思が尊重されるため、提供されることはありません。

意思表示をする側に年齢制限はなく、病気で薬を服用していても提供の意思表示はできます。ただし、がんや感染症で亡くなった場合など臓器提供ができない場合があり、提供時に医学的検査によって判断されるようです。

日常生活において「自身の亡き後の臓器提供」について考える機会はほとんどありませんが、身分証明書に書かれている小さな文字を読んで、じっくり考える機会を設けてみるのもいいかもしれません。日本臓器移植ネットワークに登録して臓器移植の待機をしていらっしゃる方は、現在1万6000人いらっしゃるようです。