老いるマンション、膨らむ建て替え負担

国土交通省によると、法律に基づくマンションの建て替え実績は2023年時点で累計114件。平均すれば毎年5件程度のようです。

マンションを建て替える際に、階数や戸数を増やすことができれば、デベロッパーに売却して建設費に充てることができるため、所有者の建て替え費用を抑えることができます。しかし、高さ制限などが妨げになって戸数を増やせない場合は、所有者が工事費のほとんどを負担しなければなりません。

国交省の調べによると、建て替えにかかる1人あたりの平均負担額は1996年まで344万円。ところが、2017~2021年には、約1941万円と5倍に膨らんでいるようです。さらに、ここ数年の資材高騰・人手不足による人件費高騰によって、ますます増加の傾向にあります。

マンションには、将来の資産価値を見据えて建て替えに前向きな若い世代と、老後の貯蓄を崩したくない高齢者世代とが混在しています。国交省によると、築40年以上のマンションの場合、世帯主が70歳以上の割合は48%。マンションの高齢化と並行して、住民も高齢化しているため、老いたマンションほど、建て替えに消極的な住民が多いようです。

人口減のこれからは、マンション内の空き住戸も増えていきます。マンションを購入する際には、建て替えや改修計画、大規模修繕に必要な積立金の管理状況なども確認し、将来、発生するかもしれない建て替え費用の負担についても想定したほうがよさそうです。