【養子縁組の落とし穴❶】 懸命に介護!それでも、相続権はなし!?

「幼い頃に母が再婚し、義父には本当の子供のように育ててもらいました。母の亡き後、しばらくして義父が脳梗塞で倒れました。身体と言語に障害が残りましたが、5年間、自宅で介護をしてきました。そして、この度、義父も他界。相続の手続きのために戸籍を集めてびっくり!私は義父の養女だと思っていたのに、養子縁組をしていなかったのです。しかも、義父には前妻との間に子供がいたため、実家も財産も全て、その子供に相続権があり、私には何の権利もないことがわかりました」

ドラマのような話ですが、本当にあった相談事例です。親が再婚したからといって、その連れ子が自動的に、再婚相手の養子になるわけではありません。

再婚と同時に連れ子の養子縁組をする方もいますが、「しばらく様子をみてから」「子供が自分で判断ができるようになってから」と見送る方もいます。

正式には「普通養子縁組」といって、養親と養子の合意が必要となります。養子が15歳未満の場合には、養子の法定代理人(親権者等)が、養子本人に代わり養子縁組の合意をします。養子縁組は、市区町村役場へ届け出ることによって効力が生じます。養子縁組をしていなければ、相続権はありません。

一昔前なら、本人や両親の戸籍を確認するためには、本籍地から戸籍謄本や除籍謄本を取り寄せる必要がありました。しかし、2024年3月1日からは、「広域交付制度」といって、自宅や職場の最寄りの市区町村役場の窓口で、遠方にある本人、配偶者、父母や祖父母などの「直系尊属」、子や孫などの「直系卑属」の戸籍謄本や除籍謄本を取り寄せることが可能になりました。

どのような真実が出てくるかわからないので、心のハードルが高いかもしれませんが、手続き的なハードルは非常に低くなっています。