最高裁判所の初の調査(2021年、4812件回答)で、成年後見人らのうち、1141件(24%)が報酬を求めていなかったことが明らかになりました。これらの大半は親族でしたが、司法書士ら専門職が務めたケースも113件含まれていました。
最高裁は「利用者の財産が少なく、報酬を回収する見込みがないと考えたのではないか」と推測。無報酬を放置すると担い手不足につながるため、政府は専門性に応じた報酬設定のあり方を検討しているようです。
報酬請求があった3671件の平均報酬は33万円/年(2.7万円/月)。弁護士43万円/年(3.5万円/月)、司法書士35万円/年(2.9万円/月)、社会福祉士26万円/年(2.1万円/月)。
利用者の財産が1千万円以下の場合の平均報酬は20万円台/年で、1億円超だと91万円/年だったようです。
成年後見人は一度選任されたら生涯利用し、報酬を払い続けなければなりません。1ヶ月3万円の報酬として、1年で36万円、10年で360万円、20年で720万円。
認知症等で施設を利用しながらとなると、その費用も嵩むため、財産が少ない方の中には払えなくなる人も出てくるでしょう。
政府は「財産の売却や相続が必要になった時は、弁護士ら専門職に業務を担ってもらい、終了後は利用をやめて、親族や福祉職に交代して日常生活の支援を受ける」といった制度の見直しを検討し、2026年度までに民法など関連法案の国会提出を目指しているようです。
たくさんの方が利用できるように、「成年後見人の一時利用」が早くできるようになるといいですね。