お墓にデジタル化の波が押し寄せているようです。メタバース(仮想空間)に霊園を作るといった新ビジネスが生まれています。
アルファクラブ武蔵野(さいたま市)が年内にもサービス化する「ネット霊園 風の霊」。親族らがネット経由でアクセスしアバターに変身してメタバース上の墓前に献花する、チャットを通じて思い出話を語り合うといった機能を持っているようです。セレモニー会場に集まって遺影の前で故人をしのぶこともでき、海外赴任者等、従来、参加が難しかった遠隔地で暮らす人も参加できるといったメリットがあります。
リアルな世界では、墓石の「一般墓」に対し、樹木を墓標とする「樹木葬」や屋内施設に遺骨を保管する「納骨堂」が普及してきました。いずれも墓石と土地代で計170万円ほどする一般墓の半分の初期費用で済み、管理費がかからなかったり、安価であることが多いようです。現実で進む墓の簡素化の先にあるのが、メタバースなどのDX化でしょうか。
デジタル墓の場合、根本的に遺骨をどうするかという問題が残ります。納骨堂に保管する、海洋散骨するなど選択しなければなりません。遺骨の存在しないデジタル空間で手を合わせることで故人をしのぶ気持ちが生まれるか、感情的な問題や社会受容性といったハードルも残るようです。
なお、お墓のデジタル化といっても、2種類に分かれます。
①バーチャル上にお墓を作る「単独型ネット墓」
➁実在するお墓をネット上でもお参りできる「併存型ネット墓 」
いずれも専用のWEBサイト(追悼サイト)に会員登録して、パスワードや公開範囲の設定をしたうえで、IDを取得できるようです。
「併存型ネット墓」の1つとして、「お墓QRコード」を彫刻またはプリントし、スマホでQRコードを読み込むと、故人のデジタルデータ(家系図・映像・人生史などたくさんの情報)が閲覧できるといったサービスも出てきました。
故人の生きた証が永遠に残る点は、星が半永久的に輝き続けるかのようなロマンすら感じられます。葬送の世界もまだまだデジタル化が進みそうですね。