祖父母が子や孫に、お金を非課税で贈与できる制度が増えている。
高齢者の財産を若い世代に移して経済を活性化させたい国の政策だ。
資金使途や非課税枠などの条件は下記のとおり。
(1)もらう人1人当たり年間110万円まで基礎控除。
(2)生活費・教育費など、その都度必要なお金の援助も、扶養義務の観点から原則非課税。
(3)子や孫への目的資金の一括贈与も、1人当たりの上限内であれば非課税。
A.住宅取得資金(上限:700万円。条件:20歳以上で年間合計所得2000万円以下)
B.教育資金(上限:1500万円。条件:30歳未満。注意:金融機関に専用口座が必要)
C.結婚・出産・育児資金(上限:1000万円。条件20歳~49歳。注意:金融機関に専用口座が必要)
ただし、特定の子や孫だけに集中すると相続時にもめる可能性がある。
また、贈与しすぎて親の家計が回らなくなった場合、もう一度親に戻すと課税対象になるので注意が必要だ。
(平成29年9月9日 日本経済新聞より抜粋)
生前に無税で贈与する方法が、増えてきています。
国の政策としては、とても良い方法だと思っています。
相続で一度に多額の現金を渡しても、感謝される度合いは低いです。
しかも、感謝されるどころか、「これだけしかなかったのか?」と文句を言われたり・・・
お礼を言ってもらえるのは、お墓の前で一度だけ「ありがとう」。
それに比べ、生前贈与は家族の中でお金をやりくりするのにはもってこいの方法です。
お金が必要なときに、そっと手を差し伸べる両親や祖父母に、みんな感謝するでしょう。
お金を渡すたびに「ありがとう」という心のこもったお礼を言ってもらえますし、賢いお金の使い方だと思います。
子供や孫に公平にすることと、贈与しすぎてお金が無くなってしまわないことには注意が必要ですが、生前贈与はどんどん活用していくべきだと、相続の現場を4000件近く見てきた私は、心から思います。
(米田貴虎)