相続まで課税を先送り – 累計で非課税枠2500万円

贈与税はもらった人(受贈者)が支払う税金で、課税方法は2つある。

(1)暦年課税(年間110万円の基礎控除を超えた部分に税金がかかる。長年こつこつと控除内で贈与し、将来の相続税を減らす節税目的で使われることが多い)

(2)相続時精算課税(累計贈与額が2500万円の特別控除内なら何回贈与しても贈与税がかからないが、将来相続財産に足し戻されるため節税にはならない)

まとまった財産を贈与して子どもの家計を援助したいが、受け取る側に贈与税を払う余裕がない場合などに、(2)は選択肢の1つとなる。

住宅取得資金の非課税特例(一般住宅の場合700万円)と併用すれば3200万円まで非課税枠が増える。

ただし、自宅敷地の贈与で②を使うと、相続時に敷地評価額を80%減額できる小規模宅地の特例を使えなくなるなどのデメリットもあるため、利用する場合は贈与税や相続税に詳しい税理士に相談した方がいいだろう。

(平成29年9月4日 日本経済新聞より抜粋)

数年前から始まった、相続時精算課税制度。

高齢者の預金を若者世代に移すことで、日本経済を活性化させようという趣旨もあったようです。

確かに、相続の争いを避けるために、親の財産を生前に子供に全て贈与してしまうということができるようになりました。

しかし、節税という点では、ほとんど効果がありません。

収益のあるマンションや、株式などを贈与するときは有効ですが、基本的には相続税の対策としては活用されていません。

相続税がかからない範囲である、4000万円以下の財産をお持ちのご家庭では、この制度を活用して相続準備を進めることをおススメします。

(米田貴虎)