岡山県在住の50代の女性が、2014年5月に遺族厚生年金の支給を申請したが認められなかった。しかし今年3月、厚生労働省が一転して不支給処分を取り消し、支給する方針を示した。
女性は妻子と離れた男性と約25年間同居していたが、男性が認知症になり、妻と同じ介護施設に入所して数年後に亡くなった。
遺族年金を受け取るには、被保険者の死亡時に、その人によって生計を維持されていたという「生計同一要件」などを満たす必要があるため、女性は支給を認められなかった。
そこで、女性が岡山地裁に提訴。男性名義の衣料店を引継ぎ、男性が仕入れた商品が残っていた店に金融機関から運転資金の融資を受けることができたという女性側の主張が認められ、厚労省が不認定を見直すこととなった。
「生計同一要件」の基準緩和の先例になるかもしれない。
(平成29年4月8日 日本経済新聞より抜粋)
生計が同じという条件が、変わってきました。
戸籍上の本妻がいるのに、内縁の妻に遺族年金を支給するという内容です。
家族制度がどんどん壊れて行っている気がするのは、私だけでしょうか。
確かに、離婚に同意しない配偶者がいる場合は遺族年金の支給については少し複雑です。
しかし、裁判をしても離婚できなかったという事情を必要要件としなければ、本妻がいるのに愛人に遺族年金が支払われるという事態も起きかねません。
結婚という意味が、どんどん薄れて行っている気がします。
年金は相続手続きの中でも特殊な存在で、遺産には含まれません。
今回のケースは、やむを得ない事情として特別な感はありますが、厚生労働省が「生計同一」の判断を見直す前例にはして欲しくないと思います。
(米田貴虎)