終活もジェンダーレス ~戒名にもLGBTQが反映される~

性別にこだわらない葬儀やお墓に対応する動きが、仏教界に広がっている。
体と心の性が一致しない人の望む戒名や、同性愛者同士のお墓。
「家制度」と密接な関係にある慣習にとらわれず、多様な個人に応えようとする試みでもある。

男性は「信士(しんじ)」「居士(こじ)」、女性は「信女(しんにょ)」「大姉(だいし)」のように、戒名は男女で違うことが多い。ただ、全日本仏教会は「仏教は死後の世界にジェンダーはない。男女別の戒名にこだわる必要はない」と言い切る。

国内人口の約9%を占めるといわれるLGBTQ(性的少数者)。
性別にとらわれない新しい戒名として「人」の字を使った「信人」「真人(しんじん)」「道人(どうじん)」などを提案している。
近年「家」に縛られず、同性カップルや友人同士で入れるお墓も増えている。

仏教界の動きを後押しする最新の研究がある。性別は男女とそれ以外の少数派ではなく、両方の要素を持つ「性スペクトラム」という考え方が注目されている。性は染色体だけでなく、体の状態や脳の認知によって必ずしも男女に分けられないことがわかってきたという。

「性は人によって幅がある。心の障害や人種もグラデーションで考えたらいい」(性善寺僧侶 柴谷宗叔さん)。LGBTQという区分けも将来は意味がなくなるかもしれない。

(令和3年6月18日 日本経済新聞より抜粋)

戒名も変わっていくのですね。
お墓も仏壇も位牌も、ジェンダーレスの影響が出てきました。

お寺の方でも様々な工夫を凝らして、檀家制度を維持しようという試みが行われているようですが、この先が心配です。

家制度が崩壊し、個人としての主義主張が最優先される世の中になると、相続という制度自体も変わっていくのかもしれません。

現状に合わせた判決が、最高裁判所で下されて、それに合わせて法律が変更されているというのが、最近の流れですが、今後も様々な判例が出てきそうです。

(米田貴虎)