相続関連の手続きの中で後回しにされがちだが、放置しておくとさまざまなトラブルのもとになりかねない。遺族間での遺産分割協議が進まなかったり、不動産を売りたくても売れないといったケースだ。所有者不明の空き家が増える原因ともなっている。
法的義務はなく、相続税の申告と違って申請期限もない。直ちに遺族に不都合が生じるわけではないので、手続きの煩雑さもあり故人名義のまま放置する例は少なくない。
揉め事につながったケースとしては、
・家を売ろうとした時に契約書を作成できない
・家を担保に借金したくても金融機関が応じてくれない
・他の法定相続人が心変わりして分け前を求めてくる
・年月がたつほど法定相続人の数が増え遺産分割協議が困難に
・隣地との境界確定が困難になり相手に迷惑をかける
などがある。
法務省によると、毎年無視できない数の未了が発生している。という。
(平成28年11月2日 日本経済新聞より抜粋)
先日来られた相談者も、3年前に亡くなったお父様の相続登記の相談でした。亡くなってからすぐに手続きをされない方も、実際多いと思います。
デメリットとしては、上記の5つが有名です。私が相談を受けた方も、最高47名の相続人というケースがありました。
「人の心は年月と環境とともに変わる」と言われますが、その言葉どおり仲の良かった兄弟姉妹が、登記をせずにいたためにもめることになってしまったという事例は、後を絶ちません。
しばらく放置しておくと、なかなか遺産分割の話をしづらいということもあります。やはり鉄は熱いうちに打てと言われるように、適切なタイミングで手続きを行うことが必要です。そうしなければいつまでたっても手続きが終わらないことになります。放置しておくことのメリットは、「今この瞬間に煩わしい手続きを考えなくて済む」ということだけです。あとは、デメリットだらけです。登録免許税や登記の報酬はいくらかかかりますが、すべきことはしておくべきです。
祖父、祖母、父、母の名義のまま、相続登記をしていない土地があれば、すぐに手続きを開始されることをお勧めします。
(米田貴虎)