税務当局が国外所得や相続財産の申告漏れの把握に一段と力を入れている。国外所得・財産を隠す人が多いほか、親が子供などの口座を借用して貯金し相続財産を減らす「名義預金」が目立つからだ。
国外に多額の財産を保有することを、税務署が知っているのは、銀行が取引記録を税務署に通知していたからだ。
税務署からの「お尋ね」は、公正な申告を促す意図が込められた任意の文書で、返答義務がないため放置する人もいるが、大変な目に合うこともある。回答しない場合、直ちに税務調査に入るケースが目立っている。
相続関連の税務調査も一段と厳しくなっている。名義預金は、本来相続財産として申告しなければならない。税務署は預金口座の入出金の状況をさかのぼって調べ、痕跡を探す。
最近目立つのは、「証言」させる手。「私名義の口座の存在自体知らなかった」などと語ってもらう。
証言記録は「質問応答記録書」という。
過去に申告漏れの対象になった財産の内訳は、現預金が目立つ。
早ければ年内から、新税制になってからの税務調査が始まる。税務署から指摘されやすいのは、
・名義預金を申告していない
・預貯金の残高が死亡時のものではない
・非課税枠を超える分の死亡保険金を申告していない
・小規模宅地の特例が適用要件を満たしていない(平成28年9月21日 日経新聞より抜粋)
最近、税務署からの「お尋ね」の文書が来ることが多くなっています。
相続税が増税されてから、これまで対象外だった方も申告しなければならなくなってきています。私の感覚では2.5倍ぐらいになっているのではないでしょうか。
名義預金は税務署が最も目を付けている項目ですので、私も気を付けています。先日相談に来られた方は、1億円以上のお金を家族全員に振り分けておられました。けっして悪気があったのではなく、みんな平等に分けてくれたらいいという想いからでしたが、相続税の申告では全て名義預金になり遺産に含まれてしまいました。
これから新税制になってからの税務調査が、本格的に始まります。くれぐれも「お尋ね」の文書にはお気を付け下さい。
(米田貴虎)