遺言があると、自分の死後に残された人たちが財産を巡って争ったり、相続手続きで苦労したりしないようにするのに有効とされています。
公正証書の作成件数は、2014年にはじめて年間10万件を超え、15年には11万件になりました。
遺言の作成順ですが、まず自分の財産と負債を把握します。財産・負債を一覧にして、書類もそろえたら次は財産分けです。
誰にどの財産をどれだけ渡すかを、具体的に決めます。配分は必ずしも法定相続割合で通りでなくても構いませんが、相続人の遺留分はできるだけ確保したほうがいいでしょう。
遺産分けを指定するとき特に注意が必要な財産は、不動産です。不動産の共有は避けたほうがいいというのが、多くの専門家の見方です。
法的拘束力はありませんが、遺言の最後に付け加える『付言』が大切です。
財産分けの理由や、家族への思いを伝えると納得する可能性が高まります。
(平成28年8月20日 日経新聞より抜粋)
私共の相談者の中でも、遺言の相談に来られる方が増えてきました。年間11万件も作成しているのですから、すごい伸び率だと思います。
遺言を作成するのは、公正証書に限ります。自筆証書での作成は避けたほうがいいというのが、相続の手続きをする現場からの正直な声です。
自筆証書の遺言があっても、相続人全員の実印が必要だと言われることがあるからです。遺言の意味をなしていません。
金融機関の中には、自筆証書遺言は取り扱えないので、預金払い戻しを求める裁判をしてほしいというところもあります。
無理やり書かせた、ボケていたのに書かせたなどという、相続人間の争いに巻き込まれたくないのが本音でしょうか、民法を否定するような取り扱いはどうかと思います。
しかし、これは世の中の流れだと思います。今後も自筆証書遺言は、使えなくなるところが多くなると予想されますので、自筆証書遺言は下書きとして、清書は公正証書で遺言を作ってください。
また、遺留分を考慮した遺言を作成したほうがいいと言われる方も多いですが、私的には考慮しなくてもいいと思います。
遺留分減殺の請求は、する人はするし、しない人はしないというのが相続の現場です。たくさん遺産をもらった人が、他の相続人に渡してあげたければ、少しずつ贈与すればいいですし、遺産分割協議をするという選択肢もあります。
余計なことを考えないで、お世話になったどの人に、どれだけの財産を相続させるか、自由に決めていただければと思います。
(米田貴虎)