2014年の全国の家裁が扱った遺産分割の事件は、実に1万5000件あまりで、この10年で3割弱も増えています。
遺産分割事件の3割強は、争いの火種になった遺産が1000万円以下。5000万円以下までいれると7割をしまめす。
争族は億万長者だけの話ではなく、だれにでも起こりうるのだということがよく分かります。
原因は、核家族が増えて兄弟姉妹の日常的なつながりが弱くなる一方、それぞれの権利意識は強くなり、トラブルになりやすいとされています。
亡くなった母親を一生懸命に介護した長男に寄与分が認められるかというと、家裁の調停ではあまり認められません。
民法改正を議論している法制審議会が6月に「中間試案」を公表しました。相続人でない人でも介護の貢献に見合うお金をもらえるようにしたり、亡くなった人に長年連れ添った配偶者の相続割合を上げたりする案が出ています。さらに議論を進めて来年にも改正案を国会に提出する見通しです。
介護のお金は、日々の介護の支出を記録して領収書も保管することを勧めます。介護の苦労が相続で報われないばかりか、兄弟姉妹がばらばらになってしまっては悔やんでも悔やみきれません。
(平成28年7月30日 日経新聞)
過去の依頼者で、遺産総額が400万円で相続人が2人という案件は、2年の調整の末決着しました。もちろん弁護士に依頼して。残ったお金はだいぶ少なくなっていました。。。
このように、争族がおこるのに金額は関係ありません。
そして、行列ができる○○事務所とかいう番組が出てきてから、他局でも同様の番組が製作され、権利主張したもの勝ちって雰囲気が日本国中に蔓延したのではないかと思います。
和をもって貴しとなすという、日本のよき文化は相続の場面ではすっかり無くなってしまいました。10年で3割も家裁での事件が増えていくのであれば、今後ますます争いは増え続けるのではないでしょうか。
やはり、自分の遺産をどうするのかということを、きちんと家族に伝えるために遺言の作成は必須かもしれません。
遺産が基で家族がバラバラになってしまうのは、良いお金の使い方とは言えませね。
(米田貴虎)