親から実家を相続したものの生活拠点の違いなどから放置し、空き家になっている人は多いだろう。しかし、空き家を売るのか、管理しながら持ち続けるのかといった決断を早くする方が、家計の負担は軽くなるかもしれない。
「特定空き家」に指定されると固定資産税が上がる空き家対策特別措置法が昨年施行されたのに続き、相続した空き家を売れば、税優遇を受けられる制度が今年4月から始まる見通しだからだ。
総務省の調査によると全国の空き家は2013年10月時点で820万戸で、空き家率は、13.5%といずれも過去最高だった。高齢化や少子化が背景だ。
空き家は所有するだけで、固定資産税の他、定期的な掃除などのための水道料金や電気代、万一に備える火災保険の保険料など費用がかさむ。自分や家族がいずれ利用する予定がなく、一定の家賃も見込めない場合は、売却を考えるのが無難である。賃貸も選択肢になるが、一定程度の賃料が条件になる。数十年住んだ家を貸すのであれば、水回りや内装のリフォームが必要となることが多く、費用は200~300万円が相場である。
空き家は所有期間が長くなるとコストも増えるため、通常は早く売るほど家計の負担は軽くなる。4月には、相続した空き家を売った譲渡所得から3000万円を控除する制度が始まる予定だから考えても良いだろう。空き家をどうするか決められない場合は、管理サービスを利用するのが一案になる。方針を決めるまで、管理サービスを手掛ける会社に依頼するのも良いだろう。
(2016年1月29日 日経新聞より)
空き家問題はよく耳にしますが、譲渡所得から3000万円を控除する制度が始まれば、空き家を放置する人も減少するように感じます。家族が今後空き家を利用する予定があるかないか、売却を検討するのかといった方向性をすみやかに考えることが大切です。
また、管理サービスを利用する場合も、料金やサービスは会社によっても異なってきます。月1回の通水や換気などで数千円から1万円程度が大まかな目安ですが、「鍵の管理ルールや誤って家財を壊したときのルールなどを定めているかを確認することが必要」と専門家の意見もあるように、料金だけで選ばないことも重要となってきます。