代償分割って知ってる?

親の遺産のほとんどが家というケース。相続ではよく見られるが遺産分割で一番もめやすいケースでもある。特定の子どもが親の家を全て相続すると他の子どもの相続分はほとんどなく、不公平感が強いからだ。

親の家に住み続ける人がいると家を売って分けるのも難しい。そこで注目されるのが「代償分割」だ。

遺産分割の方法には3つある。まず「現物分割」。遺産を実際に分けるやり方で、金融資産ならば可能だが、不動産の場合は複数あるならばともかく一つしかない場合は分けにくい。

「換価分割」もある。遺産を売却してお金に換えて分ける方法だ。ただ残された家族が住む家は売りづらい。そこで注目されるのが「代償分割」。多く相続する人が少なく相続する人に対して一定額(代償金)を渡すことで納得してもらうやり方だ。

代償分割を利用するにはいくつか注意点がある。まず「遺産分割協議書」に代償分割について記述すること。遺産分割協議書とは「どの相続人がどの財産をどのくらいずつもらうか」について文書したもの。代償分割としてお金を渡した旨の記述がないと受け取った人に贈与税が課税される可能性がある。

遺産のほとんどが親の家という場合は、代償金の資金作りまで親子間で準備もしておくのがもめごとを避ける上では重要だ。

(2015年4月15日 日経新聞より)

例えば、評価額が6,000万円の家を長男がすべて相続し、代償金として3,000万円を長男が次男に払うというのが、代償分割です。遺産のほとんどが不動産の場合、不動産を相続する人が自分の預金からお金を出す必要があり、お金を払えないということも珍しくはありません。代償金を払う相続人は、事前に資金を用意することを忘れてはいけません。

事前に親の不動産を誰が相続するのかをきちんと話し合っておくことが大切です。代償金の支払いで納得してもらう場合は、金額や支払方法も合わせて決めておく必要があります。また、親が一人存命の場合、親の家を相続した人が親と同居していくとなると、介護などでお金が必要になるので、その分を先に代償金から差し引くこともよくあります。

代償分割を利用する場合は、家族の環境を考慮し、相続人の間で全員が納得するよう話し合いを重ねることがポイントです。