2015年4月から、子供や孫らの結婚式場や披露宴の費用、新居の住居費、新生児の・育児資金の贈与の非課税制度」1人につき1000万円が新設され、これまでの「教育資金贈与」や「住宅資金贈与」における非課税制度も、それぞれ、2019年まで期間が延長される。
さらに、住宅資金贈与の枠が昨年より500万円増え、1500万円となる。
このような贈与優遇のオンパレードは、とりわけ富裕な祖父母世代にとって、子や孫への資産継承とともに、節税効果も得られるということで注目を浴びている。とはいえ、多額で公平さを欠く贈与は、そのやり方を間違うと贈った子や孫の暮らしに思わぬ弊害が生じることもある。
例えば、当面、お金が必要ない孫に教育資金で1000万円贈与したら、必要もない習い事にお金を使うといった放漫家計につながったり、子どもが兄弟2人、既に就職した孫がいる子と、まだ学生の孫がいる子に対して、片方だけに教育資金を援助したりすると、家族同士のトラブルにつながるといった副作用が懸念されるのだ。
(2015年1月21日 日経新聞より)
「贈与」とは、本来、子や孫に対して、祖父母の方が、相手に喜んでもらいたい、少しでも助けたい、援助したいという気持ちでされるものです。しかしながら、教育資金をまとめてあげたら、孫が寄り付かなくなったという嘆きが聞かれるようになりました。
これまでは、その都度、子や孫に近況をたずねたりしながらお金を渡すことで、世代間コミュニケーションの潤滑油になっていたものが、一括贈与により、対話の機会が減ったからです。
こういった副作用を伴わずに贈与するには、祖父母が結婚や教育に対する資金として、いくら必要かをしっかり聞いて贈与することが大切です。また、不公平な贈与は後々遺産分割の際に争いにもなりかねませんので、特定の孫にあげすぎるなどのないよう、公平さを心掛けてくださいね。