2014年6月までの1年間に実施した相続税に関する税務調査で、海外関連の申告漏れが前年より9.7%多い124件で、統計を始めた01事務年度以降、最多となったことが国税庁のまとめで分かった。
海外関連の調査件数は753件、申告漏れ総額は163億円で、いずれも最多だった。一方で、全体の申告漏れは前年比1.5%減の9809件、申告漏れ総額は前年比7.8%減の3087億円で、ともに過去10年で最少だった。
国税庁はこの背景として「納税者の資産運用が国際化している」と指摘している。遺産のうち申告から海外資産を除外した約1億5千万円の財産隠しが租税条約に基づく情報交換で発覚し、約6600万円を追徴課税された調査事例があった。
遺族が海外資産の存在を知りながら申告から除外したとして、追徴課税されるケースも散見されている。
(平成26年11月19日 日経新聞より)
国際化に伴い、海外に投資をしている資産家だけでなく、自分の資産を資産税の税率の低い国や課税されない国に移している人も多いと考えられる。しかし、国税庁は租税協定を締結している国の税務当局と連携し、できる限り海外資産を把握するよう努めている。
海外資産がある納税者は注意が必要である。また、その納税者が海外資産のことを家族に伝えていないと家族はその海外資産を把握できない。納税者が亡くなり、申告が漏れた場合には、家族に迷惑がかかることになるので、万一の時に備え対策をしておくことが賢明である。