もしものときに備えて、家族らに伝えたいことを書いておくエンディングノート。昨今の「終活」ブームもあって書店などにも多く並ぶ。実際に書いた人は少ないのが現状だ。
「すぐに必要なわけではない」「ページ数が多すぎる」「書くとそれが固定してしまうのでは」など書かない、書けない理由は人それぞれである。無理なく書くにはどうしたらいいのか?遺言と違って法的拘束力はないが、どんな項目を記入しておけばいいのか?
エンディングノートはここ10年で広がった。ノートの価格や厚さは様々で、100ページを超えるものもある。内容はプロフィル(自分史や親族表等)、財産(預貯金、不動産等の資産や負債)、エンディング(終末期医療・介護・葬儀・墓等)の3つの部分で構成される。
死後に家族に迷惑をかけたくないという人や、葬儀や墓などに自分らしさを求める人が増え、その実現のためには後を託す家族らに自分の思いを伝える必要がある。日ごろから死に際しての手続きや希望を家族に話していれば、書かなくていいが、親子離れて暮らしたり、会話が少なかったりというケースも多く、その場合には思いを伝えるツールとなる。
重要なのは、サポートする人がいるかどうかとある弁護士は話す。できれば、家族と一緒に作ってほしい。絆も深まるし思いも伝わるからだ。書き方講座の講師や友人でもいいという。
また、別の専門家は「今の考えで書き、考えが変わったら何度でも書き直せばよい」と話す。気軽に直せるのがエンディングノートの特徴だ。全部のページを埋める必要もない。自分の伝えたいところ、希望等を書いておけば、家族が判断に迷った時のよりどころになる。
(平成26年10月14日 日本経済新聞より)
エンディングノートの存在は知っているが、実際に書きあげた人は少ないようです。ポイントは書けるところから書いていくこと。そして、こだわりのある項目(たとえば葬儀やお墓)で自分の希望があれば、家族に伝わるようノートに書いておきましょう。
また、相続の観点からみると、プロフィルは、親族表などから相続人確定の参考になります。財産の項目に保有資産を書いておけば、相続財産の確認に役立ちます。実際に離れて住んでいる親子であれば、預貯金や保険などどういったものを保有しているか子供が知らないケースも少なくはありません。
注意すべき点は、資産の分け方などを書いたとしても法的効力はなく、自分の希望通り分けられるか保証がない点です。遺産分割に意思を反映したい場合は、遺言をきちんと残す必要があることを覚えておきましょう。