家族信託、遺言代わり

財産の相続や分割を円満に進めるため「家族信託」を活用する家族が目立ってきた。

生前に財産の相続人を定めることでトラブルを防ぐ効果も期待できる。

家族信託のメリットは「委託者と受益者で契約の中身を自由に決められること」(信託契約に詳しい司法書士の山北英仁氏)。信託財産の所有権は委託者から受託者に移る。だが、受託者が委託者と受益者のつなぎ役となり財産管理はもとより、委託者の存命中に望み通りの相続を第三者に受益権を与える形で実現することもできる。

つまり遺言代わりにもなるわけだ。家族信託では通常、親が委託者となり、子が受益者となる。

受託者は信託銀行がなったり、家族の誰かが就任したりすることが多い。
(平成25年7月30日 日経新聞より)

普及し始めた家族信託だが、利用上の注意点もある。信託財産の運用・管理を専門家らに委ねるサービスだけに、コストがかかる。信託財産から一定の割合で毎年支払う「信託報酬」が代表例だ。

また、受託者がきちんと責任を果たしているかもチェックするべきだ。

財産を託された者が利益を受ける者のために全力を尽くすことが大前提であり、たとえ家族が受託者であってもチェックはおろそかにすべきではない。