Q 母が遺言を書くと言っています。時々物忘れをするのですが、遺言できますか?
A 物忘れの程度によります。遺言をするために必要な行為の結果を判断する能力(遺言能力)があれば、遺言をすることができます。時折物忘れをするとしても、遺言能力があるときであれば遺言はできるのです。
成年被後見人は、自分で契約などの法律行為をすることはできませんが、遺言能力は行為能力とは異なります。
したがって、被成年後見人であったとしても医師2人以上に立ち会ってもらい「遺言者が遺言能力を欠く状態ではなかった」ことを医師に遺言書に付記してもらえばよいのです。被後見人より能力が残る被保佐人、被補助人には遺言に関する制限はありません。
なお、有効な遺言をしたあとに遺言能力を失ったとしても、遺言は無効になるわけではありません。
(平成25年 日経新聞より)
高齢者の遺言では遺言をしたときの遺言能力の有無が、後日相続人の間で紛争の原因になることが多いようです。これを避けるためには遺言の作成方法に細心の注意を払う必要があります。
自筆証書遺言の場合、立会人が不要であることから、遺言者が亡くなった後遺言能力があったかどうかを立証するのが難しくなります。
そのため公証人が作成する公正証書遺言がお勧めです。
将来遺言を考えている方は、遺言能力がある元気なうちに遺言を作成しておくことが一番であると言えるでしょう。