質問:会社の先輩(女性)が60歳を前になくなりました。35年前の離婚以来ある男性と亡くなる前まで内縁関係となり、亡くなる2年前からはマンションの隣室同士で住んでおりました。葬儀はその男性が喪主となって行いました。離婚歴2回、子供が3人いますが、扶養関係はありません。内縁の男性も55歳で生涯にわたり、年収750万(500万すら)を超えることができそうにありません。遺族年金を受給できる人は誰になるのでしょうか?
回答:内縁関係と生計維持関係が認められれば男性が受給できる
遺族厚生年金を受けることができる遺族とは、被保険者又は被保険者であった者の配偶者(事実婚関係を含む)、子、父母、又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡当時その者によって生計を維持したものとされています。
ただし、夫、父母、祖父母の場合は死亡当時55歳以上の方に限られ、遺族年金は60歳から支給されることになっています。
また、遺族年金の受給できる順位は、配偶者(事実婚関係を含む)子、父母、祖父母の順になっていますので、男性が女性との事実婚関係が認められれば、年齢が55歳以上ですので、もし女性が子供3人(18歳未満の場合)のいずれかの生計を維持していたとしても、男性が遺族年金を受給できます。 年金の場合の事実婚関係にある者とは次のような場合をいいます。
(1) 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
(2) 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
「社会通念上」とは、届出をすればいつでも夫婦になれる状態をいいます。重婚的内縁関係については、戸籍上の配偶者との婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっている限り認められるものとされています。
また、生計維持関係とは次のとおりとなっています。
1.被保険者又は被保険者であった者の死亡当時生計を同じくしていた者
2.850万円以上の年収を将来にわたって有すると認められる者以外の者
上記の事実婚関係と生計維持関係が認められれば、男性は遺族年金を受給できるのですが、ご質問の場合、亡くなられた女性と男性は、女性の死亡当時マンションの隣同士で住んでいらしたとのことですので、一緒に住んでいなかったことになります。つまり、客観的には「夫婦の共同生活」も「生計を同じく」もしていなかったことになります。
したがって、一緒に住んでいなかった理由や「夫婦の共同生活」と認められる事実関係と「生計を同じくしていた」と認められることを証明して、亡くなられた女性との事実婚関係と生計維持関係が認められれば、男性は遺族年金を受給することができます。