質問:30年前に死亡した親の所有地に関し、当時、兄弟のすべてが長男が相続することを文書で約束し、私以外の3人の兄弟は財産放棄の手続きをしました。その後、約30年間、登記は放置されていましたが、最近、長男は私に何も相談なしに単独で、長男と私の共有(法定相続)で登記を完了してしまいました。登記を修正しようと思うのですが、この場合、相続税はどうなりますか?
回答:遺産分割協議書に基かない相続の名義変更は、贈与としてみなされ贈与税の課税の問題が生じます。しかし、今回のケースはその行為自体有効かどうかで相続税や贈与税の課税という問題は発生しなくなると思われます。
1.30年前に遺産分割協議書を作成して署名押印したのですか?
現在その遺産分割協議書が存在するのでしょうか?遺産分割協議書が存在するのであれば、その遺産分割は親の死亡時点に遡って効力が発生します。再分割は法律的には可能ですが、税務上は課税の問題が発生してしまいます。
今回の登記によって遺産を再分割したと看做されたのであれば、お兄さんから相談者さんに贈与等があったとして課税問題が発生すると思われます。また、やり直しをした際にもお兄さんに対して相談者さんから贈与等があったものとして課税が行われると思われます。この場合において、当初の相続税の計算には影響がないものと思われます。
2.お兄さんが遺産分割協議に基づかないで行った相続の登記は、法律的にどうかという問題も発生してきます。 相続登記したお兄さんの行為自体法律的に問題となれば、当初の遺産分割協議書に基いて相続の登記が正しく行われるため、相続税や贈与税という課税の問題も生じないと思われます。
今回行われた相続の登記が法律的にどうかということについては、弁護士等の専門家にご相談してみて下さい。