病気や事故で意識や判断能力の回復が難しくなったときに備え、どんな治療を望むかを記したり、代理人を指名したりしておく「リビングウィル」があれば、家族らが患者の意思を巡って悩んだり、苦しんだりしなくてすむ。
病院や自治体など、様々な団体がそれぞれ書式を用意し、作成を手助けする催しが開かれている。
リビングウィルは欧米では国民の10~40%が示しているとされているが、日本ではごくわずかだ。
法的強制力がないため、100%確実に実行されるとは限らない。
しかしながら、周囲との話し合いを通じ本人の希望を明らかにし、穏やかな臨終と後悔しない看取(みと)りを実現することが重要だとの考えだ。
(平成29年2月2日 日本経済新聞より抜粋)
リビングウィルには、カードや公正証書などで意思表示をする方法があります。
しかし、記事に書かれている通り、法的な拘束力はありません。
親族の中で一人でも、延命治療を辞めることに反対すると、医師は必ず延命治療を行います。そうしないと、病院と医師が訴えられる可能性があるからです。
医師免許はく奪のリスクをかけて、一患者の意思を貫き通す医師は残念ながらいません。
リビングウィルで意思表示をしていても、反対するのはたいていの場合、介護をして看てきた家族では無くて、年に1,2回しか顔を出さない家族です。
反対だけして、延命治療を行い看病する家族に全てを任せて帰っていきます。
そして相続のタイミングになると、相続の権利だけを主張する。
そのようなご家族をたくさん見てきました。
こういう場面に遭遇すると、何ともやるせない気持ちになります。
これからの時代、病院で亡くなるよりも自宅で看取られて亡くなることが多くなります。
病院の床が足りないためです。
自宅での看取りは、家族全員が協力して行わなければ負担が重すぎます。
自分の意思に反対する家族が無いように、よくよく全ての家族に話して了承を取っておかなければなりません。
「反対する家族がいたら、化けて出てやる!」ぐらいのことを言っても言い過ぎでは無いような気がします。
(米田貴虎)