財産が少ないからもめないと思っている人ほど要注意だ。特に自宅不動産は評価でもめやすく、分けるのが難しい。
2010年に家庭裁判所で調停などが成立した遺産分割事件の74%が、不動産を含む遺産額が5000万円以下のケースだ。
遺言書が残されておらず、相続人が手続きに振り回されていることが多い。子供のころは仲が良くても、家庭を持ち、住宅ローンや教育費の負担が重くなると「もらえるものはもらいたい」と考える。これが相続の際に争いが起こる要因のひとつとなっている。
そういった争いを防ぐものが遺言やエンディングノートである。遺言書の大切さを認識しているものの、「まだ元気」と先延ばしにする人や縁起が悪いと作成しない人もいる。70歳以上で遺言書を既に作成している人は4%に過ぎない。
遺言書をうまく準備するにはどうしたらいいだろうと思う人も多いだろう。弁護士の小堀球美子氏は次のように指摘する。エンディングノートは通常遺言として認められない。自筆証書遺言は形式の不備や内容が曖昧なため問題が起こる可能性がある。
公正証書遺言が争いごとを防ぐには有効である。立会人を二人連れて公証役場に行って作成する必要があるうえ、費用も数万円かかるが、大切な家族に仲良くしてもらいたいと思うなら、手間や費用を惜しまない方が良いだろう。
(平成24年6月6日 日経新聞より)
遺言書がないことや遺産分割が何も決まっていないことが、相続で争いの起こる原因となっています。
家族が仲良く過ごしていけるよう、年齢を問わずに遺言書は作成しておく方が良いと思います。さらに家族への思いも添えておくと、気持ちが伝わりやすいと思います。
遺言書の中でも公正遺言証書は公証人が手続きをするので、内容が明確で無効になる恐れが少なく、偽造・紛失の恐れもありません。遺言作成をお考えであれば、公正遺言証書を作成されることをおすすめします。