高齢者の財産などの処分や管理を家族らに託す「民亊信託」(「家族信託」とも呼ばれる)の公正証書の作成件数が2018年に2223件だったことが1日、日本公証人連合会の初調査で分かった。遺言や成年後見制度よりも財産管理の自由度が高いことから増加傾向にあるという。
例えば、独居の親が自宅を子どもに信託しておけば、その後、老人ホームに移った際、空き家になった自宅を売却して入居費などに充てることができる。
成年後見では不動産売却に裁判所の許可が必要になることもあるが、信託なら不要で自由度が高いという。
認知症などで判断能力が乏しくなる前に信託契約する必要がある。
民亊信託と任意後見制度を組み合わせて利用することも多い。
ちなみに、公正証書による「尊厳死宣言」も増えており18年は1906件。公正証書遺言は11万471件で過去最多だった。(令和元年10月1日 日本経済新聞より抜粋)
「家族信託をしたいのですが」
と相談に来られる方が増えています。テレビ・雑誌・新聞で特集が組まれるたびに問い合わせが増えます。
2223件。この数字が多いのか少ないのか。遺言作成が11万件と考えると、とても少ないのではないかなと思います。
家族信託の相談に来られる方は、相続人になる立場の方がほとんどです。
実際に、信託の設定まで行った案件は、私共でも数件しかありません。
家族信託の制度や費用を詳しくご説明すると、大半の方が見送られます。
理由は、「報酬が高い」のと「自分の名義ではなくなる」ということに抵抗があるためです。
家族信託が必要な方は、①賃貸マンションのオーナー ②会社のオーナーの2種類だと思います。
亡くなった後に名義を変える遺言にさえ抵抗があるのに、生前、子供に名義を変えておくのは・・・という方がまだまだ多いのでしょう。
ある日突然認知症になるわけではないので、施設に入るまでに自分で自宅を処分できる期間は十分あります。老人ホームに入ってからも、判断能力があれば不動産売却はできます。家族信託が普及するには、まだまだ時間がかかりそうですね。
(米田貴虎)