民法の相続に関する規定(相続法)が7月から大きく変わる。手続きの簡略化、争いの回避を狙いに様々な規定を盛り込んでいる。
【2019年7月1日施行】
●相続人の預金を引き出しやすくなる(仮払い制度)
※遺産分割協議中でも、相続人1人当たり、預金額×1/3×法定相続分を仮払いできる。ただし1金融機関当たり150万円が上限。また、調停中に裁判所が必要と認めた金額が引き出し可能になる
●もめやすい「遺留分」を現金で請求できる(遺留分侵害額請求権)
●子の配偶者なども介護の貢献分の現金請求が可能に(介護の特別寄与料)
●婚姻20年以上なら遺産分割の計算から除外(夫婦間の自宅贈与)【2020年4月1日】
●自宅に終身住み続けられる権利を新設(配偶者居住権)【2020年7月10日】
●法務局で自筆証書遺言を保管すると検認不要に(遺言保管制度)
(令和元年6月1日 日本経済新聞より抜粋)
いよいよ始まります、相続法の改正。
これまで実務と法律が合っていなかったところが、かなり変更されます。
特に、配偶者保護の観点が強くなってきています。
最近の法改正の流れとしては、最高裁判所で判決が出て、それに従って法律が変わっていくというものが多いです。
ただ、万全の準備がされてからスタートするのではなくて、とにかく施行されてから後で修正を加えていくようです。
開始直後、現場は混乱するでしょうが、3年ほど経てば様々な問題点も解決していくのではないでしょうか。
今回の改正により、高い頻度で影響するのが、介護した人の特別寄与料と、預金の一部解約です。
遺産分割協議書への書き方、銀行の対応や請求用紙など、まだ確立されていませんが、7月1日からスタートしますので、そろそろ情報が出てくるころだと思います。
アンテナを張り巡らせて、情報収集を行い、実務に反映させていきます。
(米田貴虎)