【相続事例集】特別代理人選任を受けるために、諦めずに仮案を主張し続けた相続人

武田様(仮名)の未成年者の特別代理人選任を、家庭裁判所に申請した時のお話です。

武田様の家族構成は、夫、妻、子3人の5人家族です。H23.4.28に夫が亡くなり、相続税申告期限はH24.2.28です。子のうち一人は、19歳の未成年で、誕生日は3.26です。誕生日を迎える前に申告期限が到来してしまうため、今回未成年者の特別代理人選任の申請をしました。

裁判所に特別代理人を申請するための必要な資料を提出したところ、まず財産目録の提示を求められました。次に、申請に必要な資料の一つである遺産分割協議書仮案の根拠文(なぜ仮案のような遺産の分け方をしたのかの根拠文)の提示を求められました。

数日後、裁判所から相続人代表である奥様に連絡があり、仮案は認められないという連絡を受けました。

また、「仮案をもう一度考えなおして下さい。なおさないと特別代理人の選任はできませんよ。」ということも言われました。

おそらく裁判所としては、未成年者の権利を守るためにも法定相続分通りに分けて欲しかったのはないかと考えられます。

しかし、税金面から見ると、仮案で相続するのとしないとでは、相続税額に150万の差があります。なんとしてでも仮案を通さなくてはなりません。

後日、裁判所から奥様に再び仮案とその根拠文の提示、そして面接の連絡を受けました。そこで奥様は、もう一度仮案の根拠文を練り直しました。

法定相続分を相続させた場合と仮案の場合の税金額の比較表、福島県が被災地であること、このような状況の中未成年者が土地を管理するのは難しいということ等、情で訴えるような根拠文を持って、面接をしに行きました。その結果、特別代理人選任の許可がおり、仮案が認められることになりました。

仮案が認められたのも、奥様が諦めずに初めに提示した仮案を主張し続けたからではないかと思います。

 

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