質問:父の死亡に伴い、父名義の投資信託を私を含めた兄弟3名で均等に相続をすることにしました。ただし、株価評価が低いため、話し合いの結果、即解約するのではなく、代表していったん私に名義を変更し、評価額があがった時点で解約し、均等に受け取りたいと考えています。その場合、相続税の対象は、私1人になるのでしょうか。また、その後、この投資信託を解約して兄弟と分ける際、贈与税の対象になってしまうのでしょうか。
回答:ご質問のケースの場合、相談者さんが現物分割により投資信託を相続し、評価額が上がった時点で相談者さんの財産となった投資信託の解約金の中からご兄弟に現金を贈与するということになります。そのため相続の際に相談者さんに相続税、解約金を分けた際にはご兄弟に贈与税が課税されます。
遺言書がない場合に、相続人で財産分けのことを話し合いますが、この話し合いを遺産分割協議といいます。その協議で選択できる遺産分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割があり、
(1)現物分割とは、遺産を現物のまま分割する方法
(2)代償分割とは、共同相続人の一人又は数人が相続により財産を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人に対し自分の手持ちの現金等を支払う分割方法
(3)換価分割とは、共同相続人の一人又は数人が相続により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価し、その換価代金を分割する方法です。
相談者さんに全て名義変更する形で、なおかつ兄弟で平等にしたいのであれば、代償分割や換価分割となるように、分割協議でご兄弟に渡す金額を決定する必要があります。将来の値上がりは約束されたものではありませんから、よく話し合いをする必要はあります。
投資信託がどのような内容のものかわかりませんが、一番良い方法は、ご兄弟3名が均等に現物分割により相続し投資信託の名義を変更する方法です。この方法ですと相続税はそれぞれ負担になりますし、それぞれのタイミングで解約することができトラブルは少ないと思われます。
現物分割することができる投資信託は実際ありますので、まずは、投資信託を分けて相続することができないかどうかを取引金融機関にご確認されることをお薦めします。